政治のお悩み相談所:大学院の物事

政治とコミュニケーションについて研究している博士課程所属のものです。大学はカンザス大学。テクノロジーと政治、政治的分断、ソーシャルメディアによる日常生活と政治の重複などに関心があります。文系・社会科学系大学院生として発信中

フェイクニュースと民主主義

fake news.jpeg最近はジャーナリズムに関する本を読んでいます。そこで去年から今年にかけてフェイクニュース(嘘ニュース)が大問題となっています。2016年アメリカ大統領選挙ドナルド・トランプ氏がCNNニュースなどを批判しているというのは日本のテレビでも新聞でも取り上げられていたと思います。そこで今年、留学奨学金に応募した際に書いた小論文がたまたまフェイクニュースに関連するものだったので、興味ある人はぜひ読んでください。奨学金の結果は不合格でした。ショックです。何かコメントあったりしたらのこしてくれると本当にありがたいです。批判大歓迎です。 言論先進国だと思っていたアメリカで衝撃的な事実を目の当たりにした。アメリカ大統領選で当選したドナルド・トランプ氏と民主党候補だったヒラリー・クリントン氏の攻防戦はわたし達に古典的議論の重要性を改めて突きつけてきた。選挙戦中に繰り広げられたフェイクニュースは言論先進国として崇められてきたアメリカを脅かしている。これはアメリカだけの話だけではない、フランスの選挙戦にも影響が出たと言われる。対戦相手に不利な情報をネット上にあげ、それを拡散することで、その対戦相手の票を奪うかたちだ。フェイクニュースの生まれる仕組みを考えてみると、世界中どこでも起こりうる現象の一つである。実際に、日本ではSNS上ですでに多く拡散されているものがある。フェイクニュースについて私たちは何を考えていけばいいのだろうか。 昨年からフェイクニュースがマスメディアにも取り上げられ、世界中で問題になっている。嘘のニュースがインターネット上で拡散され、選挙での投票行動に影響を与えたとすれば、それは問題である。フェイクニュースがどのように作られるかといえば、既存のマスメディアでは取り上げられないニュースを個人が制作し、それをネットに上げる。基本的には、移民についての嘘のニュースをつくりそれを発信する。フェイクニュースは多く拡散されれば、その分だけアクセス数が伸び、つくり手の収入も上がる仕組みになっている。ビジネスとしてフェイクニュースをつくることは、金銭が関わるので多くやる人が出てくるのは容易に考えられる。しかし、作り手側の良心の呵責はないのだろうか。作り手側の言い分としては、既存のマスメディアの偏向論調のため、そのバランスを保つのに自分たちのフェイクニュースは役立っているという。 フェイクニュースは問題であるが、決して新しいものではない。フェイクニュースはデマに近いと考える。ありもしないことを作成し、拡散させようとする。作成する側は、そのニュースを信じてもらいたいから物質を運用する。現在では動画を添付することが視覚情報に訴えている。そして、人を特定の方向へ扇動する。この一連の流れは、昔から日本で見られる。江戸時代の「ええじゃないか」に似ている。紛糾する市民が、あるお札(物質)が空から降ってきたと信じ、市民が踊り明かすということで、市民を扇動した。間違いなく誰かがお札を特定の場所に置いて、うまく市民を騙すことに成功している。そのほかの例としては、関東大震災時の在日朝鮮人の殺害である。これはデマから始まった。フェイクニュースは、これら二つの事件と言論の空間が異なるが、起きていることは意見や事実の見方の相違である。大多数の意見と違う時に、どのように少数派の意見を伝えるか。つまり、私たちが求められている議論とは、ニュースが真実か虚偽かを考える傍で、どのように民主主義の中で、情報を扱うかという問いである。以前はジャーナリストが情報という力を掌握していたが、インターネットの出現によりその力が誰でも変化させることができるようになってきている。自分が信じたいことを信じる。それがたとえ虚偽であっても。一つのことを信じることが、自分の意見となるからこそ、今の総発信時代にフェイクニュースという形があるのだろう。メディアにとってできるだけ多角的にニュースを伝えることが望ましいと言われているが、今の時代は、情報が多すぎるゆえ、人々が逆に一つの意見に固執してしまうのかもしれない。 私は、留学先でコミュニケーション学を専攻する。これまで力を持っていたマスメディアは読者の好みで偏りがちな論調が見られた。これは情報を産業化することで顧客維持のために行ってきたことだった。これからは、民主主義の中の意見をどのようにまとめていくかという問いに答えるため、異文化とコミュニケーションやマスメディアとの関係を研究していきその中で自分ができる活動を大学の中で行なっていきたい。 フェイクニュースの見分け方(新潮新書) -
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