政治のお悩み相談所:大学院の物事

政治とコミュニケーションについて研究している博士課程所属のものです。大学はカンザス大学。テクノロジーと政治、政治的分断、ソーシャルメディアによる日常生活と政治の重複などに関心があります。文系・社会科学系大学院生として発信中

文系か理系か。真理を追い求めるには

文庫 若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫) -
文庫 若い読者のための第三のチンパンジー (草思社文庫) - 高校時代に迫られる選択の一つに文理選択がある。この選択は割と早く決断が求められはなから決まっていれば選ぶことに迷いはないと思われる。しかしながら、文系も理系も好きな生徒やどちらも点数が取れる生徒にとってはこれからの進路と合わせて熟考しなければならないことだからエネルギーを相当消費するのだろう。私は単純に理系科目が好きではなかったから文系を選んだ。それから7年以上経って、人間とは何かということに興味を持つようになった今気づいたことがある。それは「人間が関わる以上、真理にたどり着こうとするには文系と理系の知識がないと説明がつかないことがありすぎる」ということだ。例えば、なぜ人は酒やタバコは体に悪影響だと思っているのに自ら進んでそれを取る人がいるのだろうか。コミュニケーション観点からだけで見ようとすると、周りの人にリクスを取っていることを示すことになるし、個人によってはかっこよさを表しているのかもしれない。しかし、進化生物学の視点から見ると害があることを好んで選ぶ傾向は、他種の哺乳類にも見られるという。『若い読者のための第三のチンパンジー』この例から、コミュニケーションという学問を研究しようとしている中で思うのは、ただ単に人の心理や文化を見ていくだけでは視野が狭すぎるということ。そのことを強く意識し始めたのは自然人類学の長谷川眞理子氏やUCLAの教授であるJared Diamond氏の著書にふれ感動を覚えたからである。長谷川氏は自然科学と人文・社会系のあだに深い溝があると著書『科学の目 科学のこころ』の中で言っている。長谷川氏は文系と理系の架け橋となる研究をしている。私はその姿勢に心打たれている。 文系と理系科目を横断して研究することができるのは研究者にとっては素晴らしいことであると思う。 しかしながら、その道はかなり難しいのが現状なのかもしれない。その証拠にJared Diamond 氏はあるYouTubeのインタビュー(https://www.youtube.com/watch?v=_rP8vkG3dmQ)の最後の方で学際的に研究をするならまずは専門分野で安定したポジションを確保してからそうして方がいいと同じ道を目指している若者へ向けてアドバイスを送っている。なぜなら、他の研究者から妬まれることがあるし、快く思ってもらえないことがあるようだ。 いずれにしても、大きなテーマ、例えば「人間とは何か」、を扱おうとするとどうしても文系・理系の壁を取り払わなければ真理にはたどり着かないだろう。高校での文理選択についてどう思いますか。私は、高校の段階でとりあえずどちらか選んで勉強して、大学の一般教養で必ず高校で取らなかった文理科目を取るようにしていくことが必要だと現段階では思います。自然科学も人文社会科学もお互いに一つのテーマに取り組めるような環境はアメリカではあるのかこれから見ていきます。そして、全く、生物学についてわからない人でも気軽に基本的なことを教えてくれる書籍を世に送り出してくれている研究者、科学作家、出版社の方々には感謝です。分かりづらいことを簡潔に教えてくれることは社会全体にとって必要のことだと思いますので私もそんな研究者の一人になりたいです。文中に出てきた2冊は文系理系に関わらず刺激的なほんとなっていますので時間があるときに読むと今までの考え方とは違う視点が得られるはずです。オススメです。 科学の目、科学のこころ (岩波新書) -
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