政治のお悩み相談所:大学院の物事

政治とコミュニケーションについて研究している博士課程所属のものです。大学はカンザス大学。テクノロジーと政治、政治的分断、ソーシャルメディアによる日常生活と政治の重複などに関心があります。文系・社会科学系大学院生として発信中

翻訳できない世界のことば エラ・フランシス・サンダース、前田まゆみ訳

ちょっと、皆さん最近コミュニケーションの質にこだわってますか。 朝日新聞 3月5日付 で、埼玉県内の高校図書館の司書さんが2016年に出版された本から高校生に読んでもらいたい本をランキング化し、動画投稿サイトやホームページで紹介する働きが紹介されていました。2016年の1位は本日紹介するものでした。 コミュニケーションに興味があるので自ずと言語にも興味があるものです。迷いなく購入。最高の癒しを与えてくれそうです。 翻訳できない世界のことば -
翻訳できない世界のことば - まず、この本はコミュニケーションについて、私たちが普段意識しない大切な点を言い当てています。 『頻繁にすばやくコミュニケーションをすることはできても、言葉の解釈や、そこにこめられた感情や要望などの理解のギャップを埋めることは、そう簡単にできないのです。」はじめよりp002  言うべきことや言いたいこと、そして、言われたことを理解することは、私たちが思っている以上に難しいのです。 なぜなら、私たちは、同じ経験でも感じ方、考え方が違うので他の人が思っているように受け取ることは難しいです。 これは、コミュニケーションの非再現性と言われます。コミュニケーションをする時の、感情や時間、環境などが違うだけで同じコミュニケーションは生まれないことを表します。相手がどのような気持ちでどう伝えたいのか考えることは最高の趣味になり得そうです。(個人的意見です。) さて、この本のいいところは、やはり、着眼点だと思いました。ある文化の言葉は他の文化の言葉で一言で表すことができないものがたくさんあります。言い換えると、翻訳できない言葉はその国の文化を表しているということです。そのようの言葉を一冊の本with美しい絵でまとめているのですから著者には感謝感激雨嵐です。 ここでは、触れませんが、この本は文化と言語の関係を研究するのにも刺激的な材料になり得ます。サピア=ウォーフ仮説(Sapir-Whorf hypothesis)をはじめとする諸理論へと通ずる本としても高校生にぜひ読んでもらいたい。高校生への読書ランキングで1位になったことだけはある本です。