政治のお悩み相談所:大学院の物事

政治とコミュニケーションについて研究している博士課程所属のものです。大学はカンザス大学。テクノロジーと政治、政治的分断、ソーシャルメディアによる日常生活と政治の重複などに関心があります。文系・社会科学系大学院生として発信中

コミュニケーションの効率性について

こんばんは、最近、ブログの方で書評を書くだけでなく、私なりに、コミュニケーションについて思うことを描いてみたいと思います。 アメリカの文化人類学者・異文化コミュニケーションの父と言っても過言ではない、エドワード・ホール博士は日本人のコミュニケーションを効率的だとBeyond Cultureの中で述べています。彼が提唱した理論で高・低コンテキスト文化というものがあります。高コンテキスト文化では、コミュニケーション情報をできるだけ省き、その場の文脈に任せる文化です。一方、低コンテキスト文化はできる限り、情報を言語化する文化です。日本はこれまで、高コンテキスト文化に分類されてきました。(現在、量的研究で日本は中間に位置すると言われています。)ホール博士は「以心伝心」に代表される、心と心でお互いをわかり合う、ということが効率的に見えていたのかもしれません。 確かに、英語を話していると、主語、動詞、目的語を明確にしながら話していくことが求められます。日本語で話すときよりも説明的になることもしばしば起こります。ThisやThatなどだけで片付けられればとても省エネで、楽だと思います。 しかし、たとえ言語が同じ同胞だとしても、育ち、価値観、規範(総称して文化)は違います。日本人は、、、、という言い回しに代表されるような一般化した表現では、説明がつかないことの方が多いです。そこで、コミュニケーションの効率性の公式を考えてみました。
コミュニケーション量×時間=コミュニケーション効率
この公式で言うコミュニケーション量は会話量です。ただ単に、お互い何も言わず笑顔で見つめ合っているだけでは何もわからないと思います。初対面の人との効率性は極端に低いことが考えられます。なぜかというと、お互いに共有する情報が少なすぎるからです。きちんと主語を明確にして、最低でも動詞は必要でしょう。これは勇気がいりますが、名詞だけでコミュニケーションを試みるのは面白いかもしれません。多くの場合、『。。。うん?」と聞き返される もしくは、あなたが望んでいないことをしだすかもしれません。いずれにしろ時間がゼロの相手は掛け算すると0ですので、効率は低いです。 効率性が上がるためにはコミュニケーション量と時間の他に、関係性があります。社会的関係が決まっている場合、例えば、上司と部下、教師と生徒、お店と顧客など、関係に応じてどのように振る舞えばいいのかある程度予測することができます。仕事中の上司と部下のコミュニケーションではおそらく仕事の指示が多くなるため関係性がわかると部下は、自分が何をすべきかわかる可能性は高くなります。 そこまで言わなくてもわかるだろうと安易な期待をしていると、痛い目にあいます。信用していたのに裏切られたなどと被害妄想をしたり、相手の責任にして関係を悪化させてしまったりする危険性をはらんでいます。どのくらい情報を伝え、どのくらい相手の中にある知識や経験からあなたが言いたいことをわかってもらえるか、考えてみてください。そうすると、自分と相手の関係を考えたり、伝えるべき内容を効果的に伝えようとするため、相手に興味を抱くこともあります。まず自分と相手は全く考えていることや価値観が違う人だという前提にたってみてください。そこからコミュニケーションは始まります。