政治のお悩み相談所:大学院の物事

政治とコミュニケーションについて研究している博士課程所属のものです。大学はカンザス大学。テクノロジーと政治、政治的分断、ソーシャルメディアによる日常生活と政治の重複などに関心があります。文系・社会科学系大学院生として発信中

 学習と教育の心理学 市川伸一

本日は最近の関心ごとである「教えること」についての本です。ある塾で講師として働いていて思うのが、生徒によって成績の伸び、理解度が全く違うということ。それを疑問に思ってます。そこでまず心理学の本を手にとってみました。 学習と教育の心理学 増補版 (現代心理学入門 3) -
学習と教育の心理学 増補版 (現代心理学入門 3) - まずはこの本の目的から。 「教育心理学の知見と教育実践場面での問題がいかに結びつくかを示すー 一見、抽象的な理論や、実験的な場面で得られた知見も、現実の教育実践と関連をもち、その理解と改善に役立つものである。授業や個別指導の具体的場面・方法を引用しながら、教育心理学の基礎とどのように結びつくのかを示したいというのが、本書の目的である。」pxii なるほど、教育心理学とその知見を実践的に紹介してくれる本なのですね。 ということで本日は実際に、私にとって役に立ったポイントを紹介します。
学習者の学習動機には6種類ある
学習をする上でかなり重要な個人の動機(motivatioin)。残念ながら学校教育では集団授業であるため個人の動機を考慮することは現状として難しい。しかし、個人指導の学校や学習塾では考慮することは出来るので以下の分類を見てみた。 『報酬志向』 ご褒美をあげると勉強しなかった子が一時的に勉強する「報酬と罰による外発的な動機」p19 『関係志向』 他の人がやっていたり、好きな先生だから勉強をする「同調的な動機」p19 『充実志向』 何か学ぶことが自体が楽しい「知的好奇心、理解欲求的な動機」p20 『実用志向』 これから必要になるであろう知識を習得しようとする「実用を意識した動機」p20 『自尊志向』 他人よりも上でいたい。負けたくない。などの「自己優位性表示」p20 『訓練志向』 学習を通して知的訓練をしたいという動機 p20 まず、生徒がどのような動機で勉強をしているのか把握することで教師(講師)が授業を構成することができる。英語に関しては、特に学習者の動機に左右されやすい科目と思っているだけにこの情報は有益ですね。英語について掘り下げると。日常会話をすることが目的となっている生徒や、教養としての英語を身につけたい生徒では学習動機が異なってくる。人クラス40人程の生徒それぞれ英語学習の動機は違うだろう。そこで私は、中学校や高校でクラス分けを行うのが私は良いと考えている。日常会話組と教養組のように英語学習の目的を明確にしていくことで、できない生徒とできるの格差を縮めれば良いと思う。(余談)
まとめ
本書は、主に学習の動機と認知心理学についての章が特に有益であった。しかし、成績をあげるために普遍的な方略は書かれていない(期待はしていなかった)。学習に対する動機や認知構造を知ることで教師(講師)は指導法を改善することができるだろう。ぜひ参考にしてみてほしい。