政治のお悩み相談所:大学院の物事

政治とコミュニケーションについて研究している博士課程所属のものです。大学はカンザス大学。テクノロジーと政治、政治的分断、ソーシャルメディアによる日常生活と政治の重複などに関心があります。文系・社会科学系大学院生として発信中

 在日外国人 第3版 法の壁、心の溝  田中宏著

本日から書評始めます!!! 本の種類は新書、専門書を中心にコミュニケーション学、社会心理、レイシズム移民問題、英語教育、英語学習に関するテーマでお送りします。 第一回目は「在日外国人」を扱った本! 在日外国人 第三版――法の壁,心の溝 (岩波新書) -
在日外国人 第三版――法の壁,心の溝 (岩波新書) - 田中宏さんはアジア文化会館で勤務をしていたこともあり、実体験から外国人問題に取り組んでおられます。 私自身海外に友達がいるので興味津々!!早速読んでみた。                        ガイジン!                     うわ ガイジンだ! この言葉は私にとって古臭く、差別的に聞こえる。日本人の両親から生まれ平凡な日本人として生きてきた私にとって外国人との共生社会は遠い未来のことだと思っていた。 そんな私は大学学部時代にアメリカに交換留学生として一年間カンザス州のとある大学へ留学した。 それからというもの、私がどれだけ日本にいる外国人の存在に無関心でいたか気が付いたし、彼(女)らが日本に対してどんなことを感じているのか興味が湧いた。 実体験の延長上として手にとってみたこの本 まず驚いたことは、新書でありながら、在日外国人が経験してきた歴史、主な裁判判例、著者の実体験を踏まえながら日本がとってきた不合理な政策、そして時折現れるアジア留学生からのはっとする問いが散りばめられており、まさにタイトル通り、法の壁とアジア人留学生などの心の溝に注目をしている一冊である。日本が抱える外国人労働者問題にも触れており、普段の生活では見えづらい問題を表面化させてくれる。
特別永住権は特権?
在特会が訴えているひとつに在日朝鮮人・韓国人の特別永住権がある。 他の外国からきた人たちは永住することは認められていないのにも関わらず、在日朝鮮人は特権を得ているという主張はしばしばネットの中の言論でも見られる。 在特会元会長の桜井誠氏の著書「大嫌韓時代」の中でも「特別永住資格」という在日特権という見出しで特別永住資格へたどり着く歴史を振り返っている。 田中宏氏と桜井誠氏の特別永住への歴史アプローチは概ねこうだ。 1952年 サンフランシスコ平和条約により日本滞在朝鮮人、台湾人などは国籍を失う                               事実上外国人となる        日本政府特別法「法126」をもって彼らの日本滞在を容認 1965年 日韓基本条約が締結され2世、3世にも日本への永住権認める(協定永住者)       約25年間で日本へ帰化するか、朝鮮半島へ帰還することができる猶予あり 1991年 「日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書」により約27万人に特別永住権を認める 二人とも概ね著書に書いてあることは同じであるが、桜井氏は韓国が自国民を放棄し日本に野放しにしているという点を指摘している。これは国の道徳観や政治的思惑が見え隠れするところであるだろう。  
まとめ
特別永住権を例にとってみても見えてくることですが、改めてこれまで日韓が行ってきたことをどのように考えるかで歴史的な認識までも歪んでしまいます。だからこそ在特会のような組織が出てきても不思議ではないのです。大切なことは、無視をしたり、一方的に批判をすることが彼らに勢いを与えてしまいます。しっかりと議論をすることなのだと思います。(最終的には、道徳的なことに行き着くような) 外国人よりになるとどうしてもエリートだの左翼だの言われますが、そんなこと関係ない!そんなこと気にしないで外国人の問題を扱えるようになる日を望んでいる。