個人主義 集団主義について
昨日の記事で、ホフステードの文化次元である個人主義と集団主義を紹介しました。
個人、集団主義は幅広い学問の中で応用されていますが、もちろん個人がどちらか一方に分けられるというわけではありません。そうすると、中国人全員が集団主義であるという主張は正しくありません。また、個人主義と集団主義の価値観は誰しもが持ち合わせていると考えるほうが適切でしょう。
マズローの欲求階層によると、物質的欲求が満たされると、人間は精神的欲求を求めます。その精神的欲求の最高位に位置するのが自己実現の欲求です。自己実現の欲求では自分の成長が大切になってきます。人間誰しも自己実現の欲求を持っていることを考えると、個人主義の価値観が誰もが持っていると考えることができます。
それから、シュワルツ(1992)は個人主義と集団主義、そして混合主義の価値観を具体的に論文で発表しました。快楽、権威、業績、自立、刺激などは個人主義価値観。伝統、慈善の心、従順などは集団主義価値観。安全、普遍性、精神的は混合価値観。これらの価値観はお互い対立せず存在するので、個人の価値観を個人主義か集団主義かどちらかに当てはめて考えることはあまりにも勝手です。
また、日本人は個人主義価値観をアメリカ人と同じくらい持ち合わせているという研究結果も出ています。(Gudykunst 1996) .
以上から、個人主義や集団主義の文化理論を個人に当てはめることは、相手を間違って認知してしまうことにつながるため、異文化間コミュニケーションでは特に注意が必要です。
参照
不確実性の理論 西田司 著